読んだ論文:外国人労働者の就労問題と改善策

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本論文では、外国人労働者をロースキルとハイスキルの二種類の労働者、女性外国人労働者に分け、分析をし、実態、問題点、課題、改善策について書かれている。現状として、日本の外国人雇用労働者数及び、外国人労働者を雇用する事業所数は、平成19年の外国人雇用労働者が義務化されて以来、過去最高値となっている。国籍別で見ると、中国に次、ベトナム、そして近年では、韓国からの外国人労働者の減少から、ネパールからの外国人労働者も増えている。ベトナムや、ネパールでは、日本に比べて最低賃金が低いため、日本での就労が魅力的になっている。しかし、来日のために借金をしてくる外国人留学生が、その返済のためにバイトする。その現状と労働力不足の中小企業のニーズがマッチして不法就労問題を生み出す。また、漢字文化がない国では、日本の高等教育への進学は困難である。さらに、日本は外国人研修生・技能実習制度を行なっているが、日本側が希望する基準に対して、ベトナムの送り出し機関のスタッフに賄賂を渡すなどして基準に満たないベトナム人を送り出す斡施詐欺問題が存在する。近畿経済産業局が行った調査によると、日本での技術習得後、母国に戻り活用するという方法であるが、日本で学んだ技術が母国で活かせないという大きな問題がある。

 

また、外国人労働者であり且つ、女性労働者である、女性外国人労働者は就労に困難が伴う。しかし、中国の女子大生は、出産などのライブイベントとキャリア形成の両立を強く望み、日本人ように出産、結婚を機にキャリア形成を諦めることなく、職業継続意識を持っている。その背景には、親族の育児援助が期待できるという社会的要因がある。そのため、日本に両親を呼び寄せる制度を適用することで解決する。両親の入国ビザの取得及び仕事を再開後の子供のケアが継続就業における問題である。

 

また、働き方が日本と海外とで異なるため、定着に困難が生まれる。そのため日本企業も多様性度を高め、外国人従業員とって適応できる人事政策への転換が必要である。また、中小企業に外国人留学生を呼び寄せるためには、行政や大学等が仲介役となり、長期インターンシップを行い、中小企業に就職するメリットやイメージアップの向上を図る必要がある。さらに、経営者が積極的にメディアや、合同説明会などに参加することで人材確保につながる。また、日本定着を促すためには、専門性を高める能力開発や、報酬管理、福利厚生面のサポートを見直す必要がある。

 

文責:小倉

 

論文詳細

著者名:守屋 貴司

論文誌名:日本労働研究雑誌

掲載年:2018年