読んだ論文:地方圏における外国人留学生の就職に関する実態と課題

~栃木県における外国人留学生のキャリアデザインと企業のグローバル化をめぐって~

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この論文では、日本企業に就職した様々なタイプの元留学生に対してヒヤリング調査、留学生に対してのアンケート調査を実施している。また、栃木県内の企業に対しても雇用や意識に関するアンケート調査、ヒヤリング調査などを実施している。この調査から見えてきた留学生像は、モチベーションの高いグローバル人材や目的があり強い意欲を持っているような像とは違い、日本人学生と似た内向きな価値観を持つ人々が多いことが見られた。強い意志や目的をもって来日というよりも、漠然とした理由を持ち、現実世界から抜け出したいというような個人状況があった。留学で得たもの、自分の強みの分析が不十分で、何を重視して企業選択するのかといった基本的な理解が不十分であり、日本での就職活動に様々な点から不安を感じている人々が多い。見えにくい情報の多い日本の就職活動を乗り切るためにも、人とのネットワークが重要であり、日本人の友人も含め、何らかのサポートが不可欠である。企業調査からは、多くの企業ではグローバル化はまだ初期段階にあり、高い日本語能力を持った日本人の変わらない人材を求めている傾向があることが分かった。留学生採用経験のない企業には留学生採用に対するネガティブなイメージを持っている企業が多いことが明らかになった。留学生の就職促進の政策として、留学生が働きやすい企業環境の構築だけでなく、留学生のネットワークの構築の重要性を訴えている。

文責:榎谷

 

 

論文詳細

著者名:末廣啓子

論文誌名・巻号:宇都宮大学教育学部紀要 第63号 1部

掲載年:2013

出版社:宇都宮大学

 


読んだ論文:THE DETERMINANTS OF EMPLOYMENT OF FOREIGNERS IN POLISH COMPANIES(BASED ON EMPIRICL FINDINGS)

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 ポートランドでは少子高齢化を背景とした労働者不足が問題となっており、外国人労働者が労働市場において重要な位置を占めるようになってきている。この論文は、ポートランドの中でも移住が盛んであるオポール県にて、2007年から2008年にかけて、外国人労働者を雇用している91人の雇用主に対し行われた調査と2014年から2015年にかけて70人の雇用主によって行われた2回目の調査の結果を報告しているものがある。

 この研究の目的は、外国人を採用する理由と要因を特定することであり、二重労働市場の理論に従って、雇用主を一次労働市場で雇用を提供した人々(魅力的な職場:外国語教師、医師、ITスペシャリスト、営業担当者などのホワイトカラーの仕事に関連するものが多い)と二次労働市場で雇用を提供した人々(魅力的でない:熟練労働者や未熟練労働者などの肉体労働に関連する―いわゆるブルーカラー雇用)に分けている。

 調査の結果から、一次労働市場での外国人労働者の雇用は補完的な性質である(外国人はポートランドの労働者によっては成し遂げられなかった特定の仕事を遂行するために採用される、例えば外国市場についての知識や、必要な言語能力、独特の技術的知識を活かした職務に就く)ことが分かった。一方、二次労働市場における外国人労働者の存在は代替的なものである(彼らはポートランドの労働者によって実行される可能性がある仕事をしている)。

 一回目の調査よりも二回目の調査の方が、雇用主が希望するスキルを備えた従業員を獲得することが困難であると答えた回答者が増えた。ポートランドへの労働移民の増加は、入国労働者の「質」の低下をもたらしたと考えられる。

 第一回、第二回どちらでも外国人労働者を使用する際に正式な法的条件が最も厄介な問題であると認識されていることが分かった。したがって、外国人の滞在と雇用を規制するポートランドの法律が、外国人雇用にとって負担となる結論付けている。

文責:魚谷

 

論文詳細

著者名:Sabina Kubiciel-Lodzinska

論文誌名・巻号:Conference:4th International Multidisciplinary Scientific Conference on Social Sciences and Arts SGEM,24-30.08.2017,pp.453-460,At Bulgaria,Volume:Book 4 Science and Humanities,Volume I

掲載年:2018年

出版社:Conference Paper

 


読んだ書籍:外国人労働者新時代

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 他に類を見ないほど急速に少子高齢化が進む日本は、労働力確保、社会保障制度の維持、地域社会の維持・運営といった重大な課題を抱えている。昨今、これらの問題解決のために外国からの移民、外国人労働者の受け入れが議論されるようになってきた。本書は日本や世界の外国人労働者政策を振り返り、その現状を解説しながら、新しい時代を開くのにふさわしい外国人労働者政策の在り方を考察する。日本経済の長期停滞への危機感を募らせる産業界は、外国人労働者受け入れの議論を積極的にリードしている。一方、政府は「専門的・技術的分野の外国人は可能な限り受け入れるが、いわゆる単純労働者の受け入れについては、慎重に検討する」という基本方針をとる。著者はこうした「二分法」的発想では限界があると指摘する。さらに、途上国からの情報技術(IT)労働者や介護労働者受け入れについても疑問を投げかける。国外で形成された人材を一方的に取り組むのではなく、日本のあらゆる組織や機関でアジアを中心とする人材を開発していき、その一部に環流してもらうなど、国際的な人材移動・人材開発のビジョンをたてるべきだと説く。

 文責:政安

 

著者:井口泰

出版社:筑摩書房

発行年月日:2001年3月20日