論文感想
読んだ論文:グローバル人材育成と企業の留学生雇用に関する研究
近年、激化するグローバル競争を背景にして、国際競争に生き残るために、日本企業が留学生を専門的な知識・技能を持つ高度外国人材として、積極的に採用するようになってきた。2008年に「留学生30万人計画」が策定され、将来の高度外国人材として期待されているが、高度外国人材の受入れには3つの課題(留学勧奨システムの構築、高等教育水準の引き上げ、研究機会の拡大)が指摘されている。
高等教育から研究開発へ至るイノベーションシステムの見直しが喫緊の課題とされており、日本企業が高度外国人材の獲得を本格的に開始するには、高度外国人材の最も近い位置にいる大学との連携は必須であり、そのような育成に関わる機関においては日本企業文化への理解教育は重要なカギとなっている。
文責:榎谷
論文詳細
著者名:福岡 昌子 趙 康英
論文誌名・巻号:三重大学国際交流センター紀要 第 8号(通巻第 15号)
掲載年:2013
出版社:三重大学
書籍・資料感想
読んだ書籍:留学生の就職活動支援と課題ー現状と課題ー
2008年に開始された「留学生30万人計画」からも分かる通り、高度外国人材を日本に招き入れ、根付いてもらいことはグローバル競争に打ち勝つためにも必要な施策である。しかし、現状ではおよそ半数弱の留学生しか就職できていない。その現状を打破するため、留学生の就職活動の現状を調査し、今後の支援のあり方を検討している。
まずは統計データを整理しながら、これまでの留学生の就活についての先行研究の展望を挙げている。
<統計データ>
1. 留学生数は増加傾向にあり、過去30年でおよそ10倍になっている。
2. 留学生のおよそ半数が卒業後の進路として「就職を希望している」にも関わらず、17.8%しか就職できていない。
3. 就職支援として「留学生を対象とした就活情報の充実」「企業の留学生を対象とした説明会の開催」「在留資格の変更手続きの簡素化、期間の短略化」が希望されている。
4. 留学生の就職先として多数を占めるのは、中小企業。
<先行研究>
· 大学における就職支援体制が未だに十分でない。
· 採用方針・方法に違和感がある。
· 日本語運用能力と専門性の両方を育成する必要がある。
この先行研究のもと企業3社・大学7校に対して聞き取り調査を行った。調査の結果、企業において採用にあたっての判断基準や採用方法が必ずしも明らかになっていないことが判明した。大学においては対応をし始めた段階であった。また企業がどのような留学生を求めているかが明確になっていないので、試行錯誤を繰り返している。
今後の課題は
・企業側が望ましい人物像を明確化すること
・入社後のキャリアプランを具体的に設定すること
・留学生の生活を支援する部署(国際センター)と就職を支援する部署(キャリアセンター)との密接な連携をとること
・ハローワーク等の外部行政機関との連携を深めていくこと。
が挙げられる。
文責:中島
書籍詳細
著者名:独立行政法人 労働政策研究・研修機構
出版年:平成25年度
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