読んだ論文:外国人留学生の受入れとアルバイトに関する近年の傾向について
近年では、留学生30万人計画などの成果もあり、外国人留学生が増加している。しかし、その裏で外国人留学生があたかも犯罪者予備軍であるかのように扱われ、さらに留学生の本来の目的は、労働者として稼ぐことにあるのではないかと疑問視されることが増えた。本論文では、その疑問に答えるために、留学生の本業である学業とアルバイトの関係性について考察している。
まず、アルバイトができることが学生にもたらす役割を見ていく。留学中にアルバイトができると、留学生は、留学費用の一部を賄うことででき、また留学地域の労働市場の知識を増やすことができる。アルバイトを経験した外国人留学生は、労働移民よりも受け入れや適応がスムーズであり、問題が生じにくいというメリットがある。これらの背景があるため、1990年代アルバイトを認める傾向にあった。しかし、規制された就労可能時間や賃金を守って雇用主が留学生を働かせているのか確認することは困難であり、注意が必要である。
次に、外国人留学生の受け入れの変貌を見ている。日本は、東日本震災前は多くの留学生を中国、韓国、台湾から受け入れていたが、震災後減少し、ベトナムやネパールと言った非漢字圏からの留学生が増加した。
全体的にみて、留学生のアルバイト従事率は減少しているが、ベトナムやネパールからの留学生は高いアルバイト志向を保持している。また、ネパールの留学生にとっては、就職活動を経て職を手にするには困難であり、そのためアルバイト先に就職することの可能性がある。しかし、もちろん日本語を習得するために来日したのにアルバイトに力を注ぎすぎて本業を疎かにしないような工夫も必要になる。日本で母国よりもいい賃金で働きたいがためだけに、条件のいい留学というシステムを使われることは好ましくないため、現行のアルバイトの規制のように政策に一貫性を持ち運営することが現在留学生を受け入れる上で大切である。
文責:小倉
論文詳細
著者名:志甫 啓
論文誌名:日本労働研究雑誌
掲載年:2015年
読んだ論文:An evaluation of task-based learning (TBL) in the Japanese classroom
現在、日本語を学ぶ上で活用されている方法として、言語学の授業概要から実生活でのコミュニケーションを活用できるような授業概要に変わっていった。著者は、言語を勉強の目的として扱うのではなく、コミュニケーション手段として活用することによって、学習プロセスをより実生活の言語を使用する状況に近づける。そして、それが第二言語をより容易に習得することに繋がると主張している。タスクベースラーニング(課題などを基本にした学習)は理論的に、または教育的な議論があると言われているが、日本のような集団主義国では生産性の低いレッスンに繋がってしまうと結論付けている。そのため、言語学習においては、教師が国の文化の重要性を認識し、それに合った教育方法を採用し、責任を負う必要があると述べている。
文責:榎谷
著者:Christian Burrows
論文誌名・巻号:Cambridge University Press, Volume 24, Issue 4, December 2008, pp. 11-16
掲載年:2008年
読んだ書籍:コンビニ外国人
現在ではコンビニエンスストアで多くの外国人が働いている。そのような現状を目にした著者が、彼らにインタビューをして、様々な彼らの生活状況を述べている。コンビニで働く外国人は、意外にも留学生のアルバイトが多く、憧れを持って日本へ来た人が多いように思う。本書によると、留学生の多くはまず日本語学校へ入るために100万円ほどの借金をして日本へ来ている。そして、その借金を返済するために学校へ通いながら昼夜アルバイトをしてお金を稼いでいるが、それは規定の週28時間という労働時間を超えている。憧れて日本へ来た留学生が生活を維持できずに、借金を残したまま母国へ帰ることもあるという。そのような問題があるにも関わらず、少子高齢化が進む日本を支えているのは彼らである。コンビニで買うおにぎりの製造から販売までの過程で多くの外国人労働者が携わっているという話では、日本の労働力不足を彼らが補ってくれているのだと実感した。しかし、外国人が日本で生活していくにはまだまだ環境が整っておらず、その問題は複雑だと感じた。
文責:榎谷
著者:芹澤健介
出版社:新潮社
出版年:2018年
URL:https://www.amazon.co.jp/コンビニ外国人-新潮新書-芹澤-健介/dp/4106107678
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