読んだ論文:Wage discrimination against foreign workers in Russia
この論文では、ロシアにおける一時的な外国人移民とロシア人労働者間の賃金を比較し、同じレベルの生産性を持つ人々が異なる賃金を提供される差別が起きているかどうかの実証を試みている。
今後の労働力不足が予測されるロシアの労働市場では、外国人労働者が重要な位置を占めており、2013年には、連邦移民局が約300万人の移民に対して、労働を許可する文書を発行している。
移民が労働許可を取る際のデータを連邦サービスが公開しており、そのデータを使用している(2009~2013年分)。賃金格差のどの部分がロシアの労働者と移民との間の特性の違いに起因し、どの程度が外国人労働者に対する差別およびその他の要因に起因するかを調べるために、これまでも賃金差を評価する際に使用されてきたOaxaca–Blinder分解法を用いている。
分析の結果、移民と同じ生産性を持つロシアの労働者に支払われる平均賃金は、平均で40%高いことが分かった。また、高等な教育がロシア人労働者、外国人労働者双方の賃金を著しく増加させることも分かった。その反面、職業教育は外国人労働者の賃金を僅かに増加させるに留まっている。
外国人労働者がロシアよりも賃金水準が低い国から来た場合、必ずしも賃金が現地の労働者に支払われる賃金と同じレベルでなくても、彼らは移動を選択することがある。したがって、外国人労働者の権利を保護する法律がない場合、移民の賃金水準は地元の人々よりも低くなる。また、他に考え得る外国人労働者の賃金が低い理由として執筆者は、雇用主が外国人労働者の生産性を知る機会を持っていない可能性や、外国人労働者が実際に持っているスキルを活かしきれない単純労働に強いられている可能性を指摘している。
文責:魚谷
論文詳細
著者名: ElenaVakulenko RomanLeukhin
論文誌名・巻号: Russian Journal of Economics Volume 3, Issue 1, March 2017, Pages 83-100
掲載年:2017年
読んだ論文:「日本における外国人留学生の就業に関する研究:大学・企業・行との連携による就業支援の効果」
日本の留学生政策は、グローバル化の影響を受け本来目的としていた国際貢献のほかに、高度人材や国際競争の強化が目的に加わった「留学生30万人計画」が打ち立てられ、留学生が卒業後も日本に定住し働くことに対して積極的に取り組む動きをとっていることが分かった。また、同時に大学後そのまま日本で就職を希望する留学者数も増えてきている現状を踏まえて、この論文では、外国人留学生に対するより良い就職支援を大学・企業・行政との連携により取り組む方法を模索することを目的としている。
様々な調査から、現在の就職支援の内容や就職支援が十分ではないことが明らかになり、大学、企業、行政それぞれに課題が見えてきた。その結果、産官学連携を強め、就職支援の効果を高めるためには、それぞれがビジョンを持ち、役割分担を行う必要性が書かれていた。まず、産官学連携して行うものとしては、留学生の就職実態調査の共有や、留学生の就職採用の意味を認知してもらうために、留学生採用の意義とその利点の分析共有と、留学生と関係機関で交流を図ることと書かれていた。その他に、大学の役割として、ビジネス日本語や日本企業についての学習などのキャリア教育や企業と連携して日本企業について直接知れる機会を増やすことが挙げられている。行政の役割としては、情報の提供や就職支援や窓口の設置を今後も進めていくことが挙げられた。それぞれの役割を産官学が連携して情報を共有しながら行うことで、より効果的に留学生の就職支援を行えることが本論文で明らかになった。
文責:小倉
論文詳細
著者名:神谷順子
論文誌名・巻号:北海学園大学学園論集, 143: 67-91
掲載年:2010年
読んだ書籍:コンビニ外国人
コンビニだけでなく、日本の至るところで外国人が働いている。現実として、私たちの生活は外国人労働者の労働力に依存している。彼らをさまざまな角度から見ていくことで、日本という国の実相や課題が浮かび上がってきた。
日本には、難民申請をしながら何年も認められず、法的地位が定まらないまま生活している外国人が全国に数千といる。彼らは在留資格を持たない非正規滞在者である。外国人の流入者数を見れば2014年の時点で経済協力開発機構に加盟する34カ国のうち日本は世界第5位の「移民流入国」だという報告がある。しかし、政府は移民を認めておらず、移民に関する社会政策も法制度も整っていない。在留外国人や外国人労働者に対する日本政府の主な対応として、外国人に人手不足を補ってもらう制度は多い。EPAによる看護師・介護福祉士の受け入れ、外国人技能実習制度、高度外国人材ポイント制、国家戦略特区による外国人の受け入れ、留学生30万人計画などのプロジェクトを押し進めてきた。つまり、「移民」は断じて認めないが外国人が日本に住んで働くのはOK、むしろ積極的に人手不足を補っていきたいということだ。
日本の人口は減り続けている。在留外国人も含めた数であるため、日本全体の人口減が比較的緩やかなカーブを描いている理由の裏には外国人の増加がプラスに働いていることが分かる。オリンピックの後、多くの専門家が指摘しているように、日本の景気が悪化すれば、日本に来る外国人留学生の数は減り、これまで頼りにしていた外国人労働力もどんどん減っていくだろう。 重要なことは日本のファンを世界中に増やしていくことである。ファンを増やすことが日本の将来にプラスに作用するはずだ。異なる文化をもつ人との共生は簡単なことではないが、お互いにもっと歩み寄ってコミュニケーションを取るべきだ。
文責:出張
書籍詳細
著者:芹沢健介
出版社:新潮新書
出版年月日:2018/5/16
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